アドヴェント第三 ルカの福音書 2 章 6-20 節「大きな喜びを告げ知らせる」

イエス様の誕生の知らせを最初に聞いたのは、ベツレヘム郊外で野宿してい
た羊飼いたちだった。(8-12 節) 当時の羊飼いは、迷子になり易い羊を養い育
てていたため、安息日を守ることができず、ユダヤ社会から冷たく扱われていた。
救い主誕生の知らせは、そんな羊飼いに、最初に伝えられた。こうして、主イエ
ス様は、どんな人にも、すべての人々のために来られたことが明らかになった。
*ローマ皇帝を凌ぐキリスト
今回は、10 節の御使いの言葉「大きな喜びを告げ知らせます。」に注目する。
最近の研究では、この言葉はもともと、ローマ皇帝の誕生を知らせる時に、帝国
内で触れ回られた言葉とされている。直訳は、「大きな喜びを福音として伝える」
となる。ローマ皇帝の誕生が福音(良い知らせ)として告げ知らされた。加えて
ローマ皇帝には、元々「救い主」とか「主」という称号も使われていた。ルカの
福音書に記録されている主の使いの言葉は、当時の絶対的な権力者であり支配
者であるローマ皇帝に対抗しているのだ。主の御使いは、主イエス・キリストの
ご誕生が、時の最高権力者ローマ皇帝をもしのぐ、真の救い主、真の主なる神様
の誕生なのだということを高らかに宣べ伝えている。このことは驚くべきこと
だ。そして、今や「救い主」と言う言葉も「主」という言葉も、そして「福音」
という言葉も、主なる神イエス・キリストとその御業を現わす言葉としてのみ使
われている。私たちの教会のかしらイエス・キリストは、どういうお方なのか!
もう一度確認しておこう。この世の権力者など問題にならない。彼らをご自身の
足の下に置いている絶対的なご支配者が私たちの主イエス・キリストなのだ。
*賛美しながら生きる生活
さて、御使いたちの預言どおり、赤ちゃんのイエス様にお会いして羊飼いたち
は、どうしただろうか? 20 節「羊飼いたちは、見聞きしたことがすべて御使
いの話のとおりだったので、神をあがめ、賛美しながら帰って行った。」羊飼い
たちは、その境遇が変わったわけではないが、預言の御ことばとおりに主イエ
ス・キリストと出会ったことによって、主なる神様をほめたたえる者になった。
私たちも神様を信じ賛美したからといって、昨日と同じ日常が明日も続くかも
しれない。しかし、今日、私たちのために来られた、私の救い主、イエス・キリ
ストがおられるから、私たちは安心して、平安の内に、それぞれの持ち場へと旅
立って行ける。この世の旅路を勇敢に歩む者でありたい。