5/11 ヨハネの福音書21章15-25節「わたしの羊を飼いなさい」 小池 宏明 牧師
*回復へと導く主
ペテロは、イエス様が十字架に向かわれる時、主を裏切るという苦い経験をしました。ヨハネの福音書13章37-38節「ペテロはイエスに言った。「主よ、なぜ今ついて行けないのですか。あなたのためなら、いのちも捨てます。」イエスは答えられた。「わたしのためにいのちも捨てるのですか。まことに、まことに、あなたに言います。鶏が鳴くまでに、あなたは三度わたしを知らないと言います。」」イエス様が十字架にかかる時、ペテロは予告の通りに三度も「イエス様を知らない」と言い表してしまいました。このことは、ペテロの心の傷になっていたことでしょう。復活後のイエス様はガリラヤ湖畔でペテロに親しく声をかけられました。21章15節「イエスはシモン・ペテロに言われた。「ヨハネの子シモン。あなたは、この人たちが愛する以上に、わたしを愛していますか。」ペテロは答えた。「はい、主よ。私があなたを愛していることは、あなたがご存じです。」」このような対話が、あと二回、合計三回繰り返されるのです。イエス様は、3度イエス様を否定したペテロに3度「わたしを愛しますか?」と問われました。イエス様の質問の仕方は、ペテロのイエス様を裏切ったという心の傷を避けるのではなく、あえてその傷に触れて下さるものでした。古傷に触れ、その心の痛みを回復するためにペテロに声を掛けて下さったのです。これからは、主イエス様を愛して生きなさい、主イエス様を愛し続けて全うするように、と導いて下さったのです。ペテロは、彼が書き残した手紙や使徒の働きだけを見ると、霊的で、立派な信仰の大先輩、有能な教会の指導者に見えるかもしれませんが、実は、三度も「主を知らない」と主を裏切った後で、そのことを赦していただき、立ち直って主に従ったという経験が、彼の伝道者、牧会者としての人生のベースにあるのです。
*牧会の奉仕を与える主
イエス様は、ペテロが、3度とも、御心ならばイエス様を愛してイエス様に聴き従って生きたいと表明する度に、「わたしの子羊を飼いなさい」、「わたしの羊を牧しなさい」、「わたしの羊を飼いなさい」と表現を変えながらも、救い出された兄弟姉妹の霊的な養いを命じて下さいました。これは、直接的にはイエス様がペテロに命じていることですが、ペテロと同じ信仰を告白しているすべての教会と私たちにも命じられているのです。私たちも互いに愛し合い、互いを模範にし合って歩みたいのです。