2/9 マタイの福音書7 章6 節 「豚に真珠」 小池 宏明 牧師
「豚に真珠」という言葉はことわざにもなっています。イエス様が伝え
たかった本当の意味は、神の御ことば(あるいは福音)の価値が分からな
い者に、御ことばを与えても無意味であるということです。6 節「聖なる
ものを犬に与えてはいけません。また、真珠を豚の前に投げてはいけま
せん。犬や豚はそれらを足で踏みつけ、向き直って、あなたがたをかみ
裂くことになります。」
*犬や豚は誰のことか?
当時の犬は、いわゆる野良犬であって、人間の血をなめたり、道端の病
人のおできをなめたりして、汚れたものとされていました。豚も同様です。
この犬や豚に例えられ、神の御ことば(福音)に反発して敵対する者たち
とは、誰のことでしょうか? 第一に、当時の律法学者やパリサイ人たち
のことです。第二に、信仰が与えられたキリスト者の中で、この世に負け
て信仰から離れ、反発する人々のことです。このような方がいるというこ
とは、とても残念なことですが、教会は、彼らが再び回復して来ることを
信じて、祈りながら待ち望んでいるのです。第三に、多くの異邦人、すな
わち未信者たちの中で、とりわけ福音に反発する人たちのことです。すべ
ての人々に必要な罪からの救いを伝えても、誰でも喜んで耳を傾けてくれ
るとは限らないのです。イエス様も、弟子たちも、神のことばを伝えたが
ゆえに、反発され迫害を受けました。
*ひどい反対者への対応
イエス様は先ほどの6 節の前半で語っております。「聖なるものを犬に
与えてはいけません。また、真珠を豚の前に投げてはいけません。・・・」
主イエス様は、卑しい犬や豚の前では無理して語らなくていい、自分の手
に余ることをしなくていい、と語っておられるのです。これは、イエス様
を知らない方々に福音を伝えなくて良いということではありません。伝え
ても反発して聞く耳を持たない人に対して、祈りつつ神の時を待てという
ことです。イエス様は私たちの奉仕のわざに限界があることを見抜いてお
られます。ただ、私たちは、聖なる宝である福音の真理から離れてはなり
ません。語るべき時に、いつでも語れるように備えておくことが大切です。
「福音」という宝は、どんなに時代が変わろうが、決して変わりません。
福音には、神の力がいつも働いていて、変わることなく光り輝いているの
です。コリント人への手紙第一 1 章18 節「十字架のことばは、滅びる者
たちには愚かであっても、救われる私たちには神の力です。」と、使徒パ
ウロが明言しているとおりです。